ネットワークマップは、IT ネットワークを構成するデバイスと接続を視覚的に表現したものです。IT 管理者にとって、ネットワークマップはパフォーマンスの監視、トラブルシューティング、セキュリティの強化、インフラのアップグレード計画などのために欠かせないツールです。
ネットワークマップには複数の種類があり、それぞれ特定の目的に応じて使用されます。物理的なレイアウト図から、クラウドベースやセキュリティ重視のアーキテクチャまで多岐にわたります。このブログでは、様々なネットワークマップの例を紹介し、それぞれの役割と IT 運用をどのように支援するかを解説します。
ネットワークマップとは?
ネットワークマップは、IT 環境内のレイアウトと関係性を図示し、ルーター、スイッチ、サーバー、ファイアウォール、エンドポイント、その他のデバイスがどのように相互接続されているかを示します。これらのマップは IT 管理者が以下のような目的で活用します:
- 問題の原因を迅速に特定する
- ネットワークのパフォーマンスとセキュリティを監視する
- 拡張やアップグレードの計画を立てる
ネットワークマップは一般的に以下の2種類に分類されます:
- 物理ネットワークマップ – 実際の物理的なレイアウトとハードウェアの接続を示します。
- 論理ネットワークマップ – データの流れ、ネットワークのセグメンテーション、デバイス間の仮想的な関係に焦点を当てます。
ネットワークマップの種類と例
以下は、IT 部門やセキュリティ部門で使用する主要なネットワークマップの種類と、それぞれの例やユースケースです。
物理ネットワークマップ
物理ネットワークマップは、ルーター、スイッチ、サーバー、デスクトップなどのネットワークハードウェアの実際の位置と物理的な接続を表示します。これらの図は、デバイスがどのように物理的に配置され、ネットワークに接続されているかを視覚化するために使用されます。

ユースケース:
- デバイスの位置追跡
ネットワーク上の各デバイスがどこに配置されているかを把握することで、管理や保守が容易になります。 - インフラストラクチャ監査
ネットワーク構成や接続状況を定期的に確認し、ドキュメント化することで、コンプライアンスやセキュリティの向上に役立ちます。 - ケーブル配線管理
物理的な接続(ケーブル)の配置を可視化することで、整理整頓やトラブル時の対応がスムーズになります。 - 物理的な接続問題のトラブルシューティング
接続不良やハードウェア障害の原因を迅速に特定し、修復するために役立ちます。
論理ネットワークマップ
物理マップとは異なり、 論理ネットワークマップはデバイスの物理的な位置を示すのではなく、ネットワーク内のコンポーネント間の関係性や相互作用に焦点を当てます。また、データの流れ、IP サブネット、VLAN、ルーティング経路など、ネットワークの論理構造を可視化することが目的です。

ユースケース:
- データフローの理解
ネットワーク内でデータがどのように流れるかを把握し、効率的な設計やトラブルシューティングに役立てます。 - ネットワークセグメンテーションの設計
セキュリティやパフォーマンス向上のために、ネットワークを論理的に分割する際の設計支援に活用されます。 - VLAN とルーティングの管理
仮想LAN(VLAN)やルーティング経路の構成を視覚的に理解し、適切な管理を行うために使用されます。 - アクセス制御ポリシーの計画
ユーザーやデバイスがどのリソースにアクセスできるかを定義するポリシーの設計に役立ちます。
クラウドネットワークマップ
クラウドネットワークマップは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud などのクラウド環境内で、リソースがどのように構成され、接続されているかを示します。これらのマップは、複数のリージョンやサービスにまたがる仮想化インフラを管理するチームにとって不可欠なツールです。

ユースケース:
- クラウドアーキテクチャの可視化
クラウド環境内でのリソースの構成や接続関係を視覚的に把握し、設計や運用を効率化します。 - クラウドサービスと統合の管理
複数のクラウドサービス間の連携や依存関係を整理し、運用の一貫性を保ちます。 - セキュリティギャップの特定
アクセス制御やネットワーク構成を確認することで、潜在的なセキュリティリスクを検出します。 - リソース使用状況とコスト効率の監視
クラウドリソースの利用状況を追跡し、コスト最適化のための分析に活用します。
セキュリティに重点を置いたネットワークマップ
セキュリティに重点を置いたネットワークマップは、セキュリティ部門がリスクを特定し、軽減するために設計されています。これらのマップには、ファイアウォール、侵入検知システム (IDS)、非武装地帯 (DMZ)、エンドポイント保護レイヤなどのコンポーネントが含まれることが一般的です。

ユースケース:
- リスク評価と軽減
ネットワーク内の潜在的な脅威や脆弱性を特定し、対策を講じることでリスクを最小限に抑えます。 - 脆弱なゾーンの特定
セキュリティが不十分な領域や攻撃対象となりやすい部分を明確にし、優先的に保護を強化します。 - インシデント対応計画の策定
セキュリティインシデント発生時の対応手順や責任範囲を明確にし、迅速な対応を可能にします。 - セキュリティ標準への準拠の維持
業界標準や法的要件に準拠したネットワーク構成を維持し、監査やコンプライアンス対応を支援します。
ハイブリッドネットワークマップ
ハイブリッドネットワークマップは、オンプレミスのインフラストラクチャとクラウドベースのコンポーネントを組み合わせた構成を示します。従来型システムとクラウドシステムがどのように連携しているかを可視化でき、ワークロードが分散されている現代の IT 環境において非常に重要です。

ユースケース:
- ハイブリッド IT 環境の管理
オンプレミスとクラウドの両方のインフラを統合的に管理し、全体の運用効率を向上させます。 - 一貫した接続性の維持
異なる環境間で安定した通信を確保し、サービスの中断を防ぎます。 - オンプレミスとクラウドの ID 管理の連
ユーザー認証やアクセス制御を統一的に管理し、セキュリティと利便性を両立させます。 - スケーラブルなインフラストラクチャ計画
将来的な拡張を見据えた柔軟なネットワーク設計を支援します。
ネットワークマップ作成ツールの選び方
適切なネットワークマッピングツールを選ぶことで、正確で最新、かつスケーラブルな図を作成できます。以下のような機能を備えたツールを選ぶと良いでしょう:
- デバイスやトポロジーの自動検出
ネットワーク上の構成要素を自動的に検出し、マップに反映する機能。 - リアルタイム更新
ネットワークの現在の状況を即座に反映し、常に最新の情報を表示。 - カスタマイズ可能な要素(アイコン、ラベル、レイヤなど)
視覚的な表現を柔軟に調整できることで、用途に応じたマップ作成が可能。 - セキュリティ機能(ロールベースのアクセス制御など)
ユーザーごとにアクセス権を設定し、情報の保護を強化。 - クラウド互換性(ハイブリッド環境や仮想環境への対応)
オンプレミスとクラウドの両方を統合的に管理できる機能。
WhatsUp Gold 導入のメリット
プログレスの WhatsUp Gold ネットワーク監視ツールは、ネットワークマップの作成と管理に役立つ強力で直感的な機能を提供します:
接続されているすべてのデバイスを自動的に検出
ネットワークの変化に応じてリアルタイムでマップを更新
物理的な視覚化と論理的な視覚化の両方をサポート
クラウドおよびハイブリッドネットワークマッピング機能を提供
効果的なネットワークマップを作成する方法
ネットワークマップを作成する際は、単にアイコンを配置するだけでなく、実用的で信頼性の高い図にするためのベストプラクティスを意識することが重要です:
- インフラのリアルタイムな変化を反映してマップを常に最新に保つ
ネットワーク構成が変わった際に即座に更新できるようにしておくことで、正確な情報を維持できます。 - 読みやすさを高めるために、明確なラベルと標準化されたアイコンを使用する
誰が見ても理解しやすい表現を心がけることで、チーム内での共有や運用がスムーズになります。 - マップをレイヤやセクションに分けて整理し、情報の過密を避ける
複雑なネットワークでも、階層的に整理することで視認性が向上します。 - 機密性の高いマップへのアクセスを制限し、ネットワーク情報を保護する
セキュリティの観点から、閲覧・編集権限を適切に管理することが重要です。
まとめ
エンタープライズのデータセンター、クラウドベースのアーキテクチャ、あるいはハイブリッド環境を管理している場合でも、ネットワークマップはパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティを維持するために必要な可視性を提供します。
物理、論理、クラウド、セキュリティ、ハイブリッドといった様々なネットワークマップの種類を理解することで、組織のニーズに最適なツールと戦略を選択することができます。
WhatsUp Gold のネットワークマッピング機能の詳細は、ネットワークマッピングのページをご参照ください。