ネットワークトポロジーは、ネットワークがどう構成されているかを示すもので、ネットワークを介してどのように通信するかもネットワークトポロジーによって異なります。様々なトポロジーがあり、それぞれに長所と短所があります。

ネットワークトポロジーを展開する際には、各トポロジーの長所と短所をよく把握した上で、自社にとって最善の決定を下す必要があります。

ネットワーク監視のベスト・プラクティス

ネットワークトポロジーの種類

ネットワークトポロジーには、以下のような種類があり、組織の規模や範囲、ビジネス目標や予算などに応じて、最適なものを選択することが重要です。

スター・トポロジー

スター・トポロジーは、最も一般的なタイプの構成です。ネットワークは、ノードがサーバーとして機能するセントラルハブに接続されるように配置されます。ネットワークを介したデータ転送は、セントラルハブで管理されます。つまり、ネットワークを介して送信されたデータはすべて、最終宛先に送られる前に中央ハブを通過します。

長所:

  • セントラルハブの1か所から集中的に管理できる便宜性
  • 1つのノードに障害が発生しても、ネットワーク機能は継続する
  • ネットワークを停止することなく、デバイスの追加や削除が可能
  • パフォーマンス問題の特定と切り分けが容易

短所:

  • セントラルハブに障害が発生すると、ネットワーク全体がダウンしてしまう
  • パフォーマンスと帯域幅が中央ノードの性能に制限される
  • 運用のための費用が高額になる可能性がある

 

バス・トポロジー

バックボーン・トポロジー、ライン・トポロジーと呼ばれることもあるバス・トポロジーは、ネットワークの一方の端からもう一方の端まで延びる単一のケーブルに沿ってデバイスを配置します。データを宛先に送るときは、データはケーブルに沿って移動します。

長所:  

  • 小規模ネットワークなら費用対効果が高い
  • 1本のケーブルにすべてのデバイスが接続されるというシンプルなレイアウト
  • ケーブルを延長すれば、簡単にノードの追加が可能

短所:

  • ネットワークはケーブル障害に対して脆弱
  • ノードが追加されるごとに送信速度が遅くなる
  • データ送信は、同時には一方向のみに限定

 

リング・トポロジー

リング・トポロジーでは、ノードはサークル状に配置されます。データは、リング内を移動するとき各デバイスを通過します。大規模なネットワークでは、送信中のパケット損失を回避するためにリピーターが必要になる場合があります。

長所:

  • 費用対効果が高い
  • インストールの費用は高くない
  • パフォーマンスなどの問題の特定が容易

短所:

  • 1つのノードがダウンすると、複数のノードがダウンする可能性がある
  • すべてのデバイスが、スループットを左右する帯域幅を共有
  • ノードの追加や削除を行うときに、ネットワーク全体を停止する必要がある

リング・トポロジーは、シングルリング(半二重)またはデュアルリング(全二重)として設定して、トラフィックが両方向に同時に流れるようにすることができます。

 

ツリー・トポロジー

ツリー・トポロジーでは、中央ノードがセカンダリハブに接続します。ハブは、デバイスと親子関係にあります。セントラルハブは木の幹に相当し、セカンダリハブは幹から伸びる枝(ブランチ)にあたります。ハブに接続されるデバイスは枝についた葉と見做すことができます。

長所:

  • 非常に柔軟でスケーラブル
  • 広く分散したデバイスをサポートするために WAN でよく使用される
  • パフォーマンス問題については各ブランチを個別にチェック可能

短所:

  • セントラルハブに障害が発生すると、ノードが切断される(ただし、ブランチは独立して継続作動可能)
  • 構造を効果的に管理するのは難しい
  • 他の方法より多くのケーブルを使用する必要がある

 

メッシュ・トポロジー

メッシュ・トポロジーでは、ノードは相互接続されます。すべてのデバイスをネットワーク上の他のすべてのデバイスに直接接続する形態はフルメッシュ・モードと呼ばれます。部分メッシュ・モードでも、ほとんどのデバイスが他の複数のデバイスに接続します。データ送信のための複数の経路が存在することになりますが、データは、送信可能な最短距離の経路を介して送信されます。

長所:

  • 信頼性と安定性
  • 単一ノードの障害がネットワークの停止につながることはない

短所:

  • ノード間の複雑な相互接続性
  • インストールに手間がかかる
  • すべてのデバイスを接続するのに、はるかに多くのケーブルが必要

 

ハイブリッド・トポロジー

ハイブリッド・トポロジーは、その名前が示すように、複数のトポロジー構造を組み合わせたものです。大企業の場合は、この方式がよく使われます。たとえば、各部門のネットワークには、スター・トポロジーやバス・トポロジーなど、1つのタイプのトポロジーが採用され、部門のハブがセントラルハブに接続するといったケースが考えられます。

長所:

  • 柔軟性
  • 利用者のニーズに合わせて自由にカスタマイズ可能

短所:

  • 複雑性が増大
  • 複数のトポロジーに関する専門知識が必要
  • パフォーマンス問題を特定して解明することが難しい

 

最適なネットワークトポロジーの選択

どのトポロジーが最適かという質問に対して、1つの正解が存在するわけではありません。それぞれの状況に応じて、ネットワークにどの程度の冗長性が必要なのかを考慮しながら、適切だと満足できるものを選択するしかありません。

また、選択に際しては、コストも考慮する必要があります。必要なケーブルが多くなり、トポロジーが複雑になるほど、インストールと管理のために費用と時間がかかります。

どれを選択するにしても、将来の計画を立てることは重要です。企業の発展に伴い、ビジネスニーズが変化し進化するにつれて、デバイスを追加、削除、変更する必要が生じる可能性があります。スケーリングが困難なトポロジーもあるので、拡張が見込まれる場合はスケーリングの容易さも選択時の要因になり得ます。大幅な中断なしに簡単に変更を加えられるということが、スター・トポロジーが選択される理由の1つになっています。

トポロジーのマッピング

ネットワークトポロジーを効果的に管理するには、視覚的なマッピングが必須です。どのようなトポロジーを選択したとしても、正確なネットワークマップが必要になります。マップには、デバイスと相互接続関係が表示されるべきで、障害が発生した場合、潜在的なボトルネックがわかるような仕組みが必要です。トラブルシューティングが必要な場合は、視覚化されたマッピング情報をチェックするようにします。クレジットカード取引の PCI-DSS などのコンプライアンス規制に対するビジネス要件になる場合もあります。

ネットワークがより複雑になり、動的になるにつれて、ネットワークの包括的なビューを提供するネットワークトポロジーマップはビジネス継続性のバックボーンになります。WhatsUp Gold などのネットワーク監視ソリューションには、ネットワークに接続されているすべてのものを検出し、依存関係情報も含めてネットワークトポロジーをマップ上に視覚化する機能があります。WhatsUp Gold を使うと、ネットワーク全体を数分でマッピングすることができ、ネットワーク上の変化は自動的にマップに反映されて、常にネットワークトポロジーの最新のビューを獲得できます。